Seal the Love! Seal the Forever! -7-

書けば書くほど思い出すけれど、何らかのトリガーがないと、思い出せないこともある。そんな8日目。

例えば、GMは内々に番号が振られていて、それを思い出したのは今しがただ。GM_Kabraが01、GM_Bangdollが02、そしてぼくが03。つけかたのルールは忘れてしまったけれど、ぼくよりも前からGMをやっていたGM_Seraphimは10番でGM_Teraphyが12番だったので、入社順でつけているとかではなかったのだと思う。

さらに、芋づる式に思い出したことがあって、日本版のGMはオープンβ時に、いわゆる「GMコマンド」というやつを開発元からほとんど知らされていなかったという事実がある。「GMコマンド」というのは、GMがキャラクター操作を使うときにだけ使える特殊なコマンドだ。これが2つしか、知らされていなかった。

当時、開発元は「まだ日本の運営チームは信用できないから」と言っていたみたいで、そんなことをGM_Kabraが教えてくれた。「ハァ?」って感じだ。運営するのに必要なコマンドが知らされないというのは、信用とかそういう問題とは別次元の気がするが、とにかく2つだけ。

2つのコマンドは、「座標を入力してそこへGMが移動する」ものと「キャラクター名を入力してGMのところに呼び出す」もの。この2つで何をしろ、と思うかもしれないが、なかなかどうして、そこそこの使い方ができた。

例えはよくないかもしれないが、チートをしたプレイヤーに対してBAN(アカウント停止)的なことをするために、まず「ザイドの端っこの座標を入力してそこへGMが移動」した後、「チートしたキャラクター名を入力してGMのところに呼び出す」とする。そうすると、呼び出されたキャラクターはそこ一帯から出られなくなる。

知らない人のために補足しておくと、ザイドは雪に囲まれた街マップであり、端っこは小高い山状になっていて、通常は登ったり降りたりすることができない。正式サービス後はイベントの待機場所などとして伝統的に使われるようになっていたが、もともとはザイドの端が、いわゆる「監獄」として懲罰的な使われ方をしていた、というわけだ。

ザイドの端に呼び出されると、そのプレイヤーキャラはログアウトしたあとにログインしなおしたとしても、辺り一面の白銀の世界をウロウロするしかないし、チャットの文字も街には届かない。

そういう飼い殺しみたいなことをやっておいて、一段落したら「GMツール」で「対象のパスワードを変更する機能」を使ってしまえば、二度とログインできなくなる。ほぼBANみたいなものだが、まあなんともまどろっこしいやり方をやっていたものだ。

だが、一人二人ならまだしも、何人もが悪さをし始めると、そんな手間のかかるやり方ではまったく対応ができなくなる。

「GMコマンド」とは別に専用ソフトで「GMツール」というものがあった。このツールを起動すると、これにもログインする必要があって、ログインしたGMによって(GM番号によって)使える機能に差が出る仕組みになっていた。権限分けがされていたのだ。

しかし、この権限分けもあまり実際の運営業務に則したものにはなっていなくて、例えば「プレイヤーが今どんなアイテムを持っているか見る」という作業があったとする、チートキャラの所持物を調べるというような地味な作業だ。GM番号が二桁台のGMがそういう作業をしようとしても、ツールはうんともすんとも言わないので、一桁台のGMに頼んで見てもらうしかない。一桁台のGMは生息数(汗)が少ないので、そこで作業が止まってしまうこともあった。

かといって、GMをみんな一桁台の番号にしてしまうと、「アイテムを発行する機能」「BANする機能」「対象のパスワードを変更する機能」その他の、操作を間違うと致命的になってしまうような機能もセットで使えるようになってしまう。「閲覧のみ」という権限がなかったわけだ。まあ、そのへんは開発ポリシーでしかないので、何が良いというのでもないのだろうが、それにしても不便極まりなかった。

そういう改善点が明確にありつつも、運営ツールはあまり更新されなかったので、その後Webエンジニアがデータベースのコピーから、プレイヤーのデータを閲覧したり、統計や過去のログをある程度とれるようにしてくれた。リアルタイムで動いているサーバーとはタイムラグがあったが、調査業務などには充分すぎるくらいだった。開発元に黙ってそんなの作っていいのか、というところではお互い様か、と思っていたけれど(汗)。

Seal Online2004年成人式イベント

Seal Online2004年成人式イベント


そして1月12日、成人式イベントでは会場に多くのプレイヤーが集まり、いわゆる「マップ落ち」が頻発したことで大変な混乱が起こった。

最終的には「GMツール」を使った全体告知とアイテム(セゲルだったと思う)配付などが行われたが、これにも問題があって、ツールからある一定以上のプレイヤーに何かを配付しようとすると、ツールが途中でハングアップするという、よくわからない状態になった。

しかも、途中で異常終了したように見えても、残ったプロセスが律儀に配付を続けていて、「あ、落ちた!配りなおさなきゃ!」をやると、二重に配ってしまうことになる上に、異常終了だと配付に関するログも出てこないという素敵仕様。お決まりのように、テストサーバーでのチェックでは出てこなかったんだこの問題が。

そういうトラブルも含め、運営用ツール類もβテスト期間なのだと言ってしまえばそうだが、テストされていたのは運営メンバーもまた然り、なのである。

成人式イベントの反省を活かすという意味でも、汚名返上のGMイベントが開催されることになった。
プレイヤーをひとところに集めてはマップ落ちしてしまうので、色々な箇所をスタート地点にしてGMが先導し、フィールドに一定数以上の人数が留まらないようにしながら移動していく、という「マラソン」イベントである。

「澤さん、GMネーム決めてもらっていいですか?」マラソンイベントを二日後にひかえ、GM_Kabraは言った。
「GMネーム? なんで? サポート返信だったら、借りてるIDで間に合ってるよ?」
「今度マラソンイベントをやろうとしてるんですけど、時間的に一人足りなくて、お願いします。それに、サポートでキャラ調べたりするのにも必要ですよね、ちゃんとしたGM番号」

当時ぼくは使われなくなっていたGM番号(誰が返信したのかがわかるようにするため)を借りてカスタマーサポートを手伝っていたのであるが、専用のGM番号を割り当ててもらうことになったのである。

その頃、Kさんが勝手にぼくのことを「澤さんは当社の役員になりましたんで」と触れ回っていて、ならばとGM_Kabraのはからいで一桁台の03が割り当てられることになった。そして、GM専用のゲームクライアントと、「GMコマンド(といっても前述の2種類)」、そして「GMツール」がぼくのPCにインストールされた。

「GMネーム、決まりました?」考える時間も与えないようなスピードで、GM_Kabraが聞いてくる。

「じゃあ、Sionicで。ソニック(=sonic)、みたいな感じで」
あまり熟考しなかった。ほんとうに適当に決めてしまった。

「はい、登録しておきますね。そのGM番号でログインして、キャラ作ってもらっていいです? それをGM化するんで」

みなさん、お待たせいたしました、GM_Sionic誕生の瞬間。

GM_Kabraから、キャラクターの扱い方、振る舞い方、そして「GMツール」の使い方のレクチャーを受ける。
ぼくはGMツールを「すげー、こんなことができるのか」という興味でいじり倒していた。

だが…… もう一度書こう。貧弱なツールでは「何人もの悪さ」への対処は難しい。
その頃、シィルツでは、じわじわと闇の中でDUPE(アイテム複製)が広まり始めていて……

(気が向いたら、続きを書きます)

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