映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』感想

話題の新作アニメ映画(って書くとすごく一般的なものに感じられる)を観てきました!

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』です。っつことで、巷では「序」「破」ときて、男らしさ、ヒーローらしさ全開だったシンジが「Q」で、結局なんにもしないで逃げてばかりで、かつ肝心なときに一番空気よめないコトするヤツみたいになったと言われておりますが、元々エヴァンゲリオンってそんな感じのアニメだった気がします。

そして、僕らは20年近く、そういう物をいろんなバージョンで繰り返し観てきたんだ。

さらに、設定されてるんだかないんだかわからないことに、伏線でもなく単に配慮なく描かれたそれを、ああでもないこうでもないと考察して楽しむ、そんな素材を与えられたんだ……

っていうか、巨大戦艦のエンジンを、常人離れした能力を持つ人が直す映画、なんか夏にも観た覚えが。

以下、例によってネタバレ含む。


「破」の終盤から14年後。世界はあの出来事でほとんど荒廃してしまったのだという。たぶん同時上映だった「巨神兵、東京に現わる」のように、月からエヴァ量産型みたいなのがいっぱい降りてきたり、人間が進化して巨人になってしっちゃかめっちゃかやってしまった後な感じもする。なぜなら、エヴァのような巨人の残骸がそこかしこにころがっていたから。あとなんかカヲルくんが人類の進化云々ってそれっぽいこと言ってたから。月でどれくらい量産していたのかはわからないけれど。

まあ、そんな世界でヴィレっていう、ゼーレやネルフでさえよくわかんなかったのに、抵抗勢力みたいなのが追加されて、レジスタンスみたいなことしてる。

気づいた点とか箇条書きで。

  • コミュニケーション不全が余計なことを引き起こすし、やきもきしているうちに話が転がってく筋書き。誰か一言シンジに説明してやりゃいいのにと、いくつものシーンで思った。そして肝心の説明をやっとカヲル君がしてくれてるというのに、そういうときに限ってシンジは言う事聞かない。おまえ、聞けよ、人の話をよ。
  • 冒頭の宇宙戦、細かく考えてみれば、νガンダムで石ころを押し返すくらいギリギリで有り得ない感じのシチュエーションなのに、そこは息をも継がせぬ展開で魅せてるのがいい。考える隙がないくらいキマる映像が繋がっていくところに気持よさがある。そして最終段階であわやアスカの絶体絶命ってときに、十字架型の棺桶から謎ビームが出て使徒っぽい敵が雲散霧消。シンジ、やっぱヒーローだったんだね!ってちょっと思った。ほんのちょっと。
  • シンジが初号機に溶け込んだ状態で封印されてた14年間、何があったのかが断片的にしか語られない。シンジが劇中世界では浦島太郎みたいな感じで、それはそのまま観客も同じだから、かなりシンジと重ねあわせて導入に引きこまれた。でも徐々に理解が進んだり、カヲル君とはこんなふうには仲良くなれんわと思ったりするにつれて客観的になっていく感じがあった。楽譜に乗せて馬が走りだしたあたりで、強烈に「あ、オレ、視聴者でよかったわ」みたいな。
  • 新型の戦艦ヴンダーすごい。アークエンジェルがマリュー・ラミアスの号令でローエングリンを撃ってるのかと思った。ちょっとやそっとじゃブッ壊れない戦艦ってのはロマンみたいなのがある。初号機を内包していてエンジンとして使ってるとか。なのでいろいろ戦艦まわりの演出(エフェクト)がエヴァっぽい。
    冒頭に書いたように、巨大な戦艦にしがみつく感じでエンジン直す映画を夏に観た感じあるけど、こっちのほうが「よし!」っていう感動はあった。アベンジャーズの方は「直せた!」っていう感じだったのに対して、こっちは「動いた!」って感じですね。信管を直接動力にぶっ叩く使い方とか激しい。戦艦のクルーのうち、ハゲたオッサン、加持の知り合いっぽいけど、加持さん今回の映画に全然出てこなかったよね……
  • 要所要所でTV版のエッセンスをまぶしてあるところがある。まぁ、当然か。初号機に溶け込んだシンジがサルベージされるところ。カヲル君がセントラルドグマに降りて何かおかしいと感づく→もはやどうにもならん(騙されてた)ことを知り死を受け入れるところ。同様にセントラルドグマに降りたシンジを止めるのがアスカだというところ。エヴァ13号機のロールオーバー時、球形の格納庫からハッチを止め具みたいなので引っ張り押さえている中から出てきて、レリエルから出てきたときを彷彿とさせるところ。細かいところで、やっぱり基本的な「流れ」ってのは、一緒なんだなぁ、という。
    舞台装置を変えても「流れ」を作ることで同じ物語であることを感じさせるって、すごいと思う。
  • ネルフにゲンドウ、冬月、カヲル、アヤナミ以外が見当たらない。すごい殺風景だし、すごい悪趣味な感じがする。ネルフなんなの。あとゼーレの石板たち、電源切ったらご臨終ってのも、なんだ、いつでもやれたんじゃねーか、くらいのことを思った。「なぜあの時にしなかったことをこの時にやるのか」ってことについての理由がいちいち見えないのは、これまたずっと変わらぬ芸風みたいなものを感じる。
  • TV版、旧劇場版、新劇場版とずっと暗喩に使われてた「S-DAT」のトラック番号が28で、昔の24と25を繰り返すみたいなところから抜け出せた「破」からさらに先へ進んでいる。なのにシンジはずっとトラック28を聴いたり聴かなかったり投げ出したりしてる。S-DATは初号機に吸収された後、サルベージ時に再組成されるすごいオーディオプレイヤー。シンジの体表に埋まっててもおかしくないだろそれ。
  • シンジがアスカと戦ってる間、マリと綾波が戦ってるんだけど、なんかフォーゼがサジタリウスゾディアーツと戦ってる間、メテオがレオと戦ってたのを思い出した。わかりやすい。
  • 予告に出てた仮面ライダーWみたいなエヴァの半分こ状態、どうなるんや……

あんまり明かされてないためよくわからないこと。

  • ヴンダーを所有するヴィレという組織のバックボーンがわからない。まぁ、ネルフも大してわからなかったけどね……。
  • 宇宙の十字架型格納容器(初号機が入ってる)に寄生してたのと、ヴンダーの進行を妨げたの、どっちも使徒っぽいけどネーメジスシリーズとか呼ばれてて、何だかよくわからないが、ネルフかゼーレが作った、使徒を模した防衛兵器? アンチATフィールドってなんだったっけか……
  • マリはユイの存命中を知っているらしく、冬月がシンジに渡した写真の右側にそれっぽいメガネ女子が写り込んでいる。今回から出てきた設定「エヴァに乗ると外見年齢が変化しない(呪縛)」ってのに則ってるぽい。
  • トウジのシャツがネルフ内にあったことやトウジの妹が「エヴァには乗らんといてください」としつこかったこと(これは兄が乗ったことあるからかも)から考えると、あの後(「破」で起こったサードインパクトがカヲルによって弱められた後)トウジはエヴァに乗ったのではないか。
  • 調整槽の中にいた綾波と、それを見ていた綾波がいるんだけど、どっちか、シンジが「破」で救いだした綾波? 多分TV版でカヲルがセントラルドグマに下りたときに、メインシャフトの壁に綾波いたじゃん、亡霊みたいなの。ああいう感じだろうか。
  • カヲルが「このぼくを第一使徒から第十三使徒に落とすとは」みたいなことを言うんだけど、使徒の番号って序列だったの?(出現順かと思ってた) Mark6に寄生してたものが13号機に乗り移って第十三使徒化。乗組員だったカヲルくん(第一使徒)も含めて第十三使徒と呼ぶのか…… すごくどうでもいいけど、あの世界の人たち、もうちょっと命名ルールくらいちゃんとしてほしい。
  • ひょっとしたらアスカを楽しむ映画かもしれない。

まあ、そんなわけで、1回見ただけでは(そしておそらく2回以上見ても)わかんない映画だよな、これ、って思った。かなり1回でいろんな要素を拾えたとは自分で思ってるけど、次の映画で明かされるなら、それまで待てばいいか、って気にもなる。

あと、エヴァシリーズが、あんましかっこいい造形じゃなかった…… フィギュアほしい!ってなるほどのエヴァがいなかったんだよな…… 首チョンパになってるMark9とか悲惨だし。

カヲルくんの出番が多くて、悩めるシーンとかカッコよかったのがご褒美な感じか。

そんなわけで、エヴァQ、数年に一度のお祭りみたいな感じです。毎年ハリーポッターを待ち望んでいたように、エヴァも次を待ち望むよ!

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