テコ入れ、サイコー!特命戦隊ゴーバスターズ!

日曜日の朝にやっている子ども向けヒーロー番組に『特命戦隊ゴーバスターズ』というのがある。先日の日曜で第28話。だいたいが年間50話くらいなので、全体のストーリーとしても折り返し地点を過ぎたところだ。

知らない人のためにざっと大筋を話すと、主人公(レッド、ブルー、イエローの3人いる)が子どものころ、それぞれの親が一緒に勤めていた研究所でトラブルが発生、亜空間からの侵略を受けた。その侵略が世界に及ばないよう、研究者たちは研究所ごと「亜空間」に移送することで事無きを得た。子どもだった主人公3人は特殊なコンピュータウィルスの作用で生き長らえることができ、来るべき日(亜空間からの侵略)に備え訓練を始めた。それから十年くらい後、いよいよ亜空間から侵略の魔の手が伸びてきたのだった。


で、初回から20話くらいは、侵略してきたいのにエネルギー不足が故になかなかやって来れないでいる亜空間の何者かが、「アバター」と呼ばれるデータ人間「エンター」を現実世界に寄越し、そいつに「エネトロン」というエネルギーを盗ませるというのが毎回繰り返されていた。

毎度、エンターは現実世界の物品から等身大の怪人(毎回デザインがカッコイイ)を誕生させエネルギーを盗む算段をするとともに、巨大ロボットをも送り込んでエネトロン(錐状の発電所みたいなタワーが都市のいたるところに設置されている)を大量に強奪するのである。それを、3人が退治する。そういう話ばーっかり、見せられていた。まじで起伏がなくてつらかった。

とはいえ、新しい試みもすごくなされていて、当初はかなり硬派なミッションに、ハードなアクション、普段ならドンパチ&必殺技で様式美と化していたロボット同士の戦いも、出動までの準備や整備不良によるトラブル、あるいは「合体中になんで敵は攻撃してこないの?」に対する一種の回答(合体中は回転をしながら特殊な電磁バリア状の空間を発生させ、なおかつそれが有効な時間内に合体オペレーションを完了させなければならない)を出すなど、その世界でのリアルを求めた作風に、大人向けなテイストが盛り込まれていた。

昨年の「ゴーカイジャー」が、戦隊ヒーローの総決算のようなものだったので、新しいスタイルを求めたのだと思うが、正直この「剣劇はカッコイイが、お銀が風呂にも入らなければ、印籠すら出ない水戸黄門」みたいなものは、毎回観ていても「どうかなぁ」「これって子どもが楽しいの?」感もなくはなかった。(まぁ、毎回観てるんですけどね)

なにしろ、3人のヒーローが別行動をとっており、一人で怪人を倒しつつ他の二人はマシンで敵ロボを食い止める、みたいな「お約束ではない」シーンが頻繁にあるのである。
これまでならば、「五人揃って○○レンジャー!」と戦闘員を薙ぎ払い、怪人に向かって必殺バズーカ! どーん!で、怪人が巨大化、「○○ロボ、発進!」で5人で乗り込んで必殺剣でボカーン!という形式が主流であったのだが、そういう回はむしろ少ない。

こういった戦隊ヒーローものの定番として、中盤で戦士が追加されるのだが、これはテコ入れも兼ねていて、追加戦士の振る舞いによってその後のストーリーがシリアスになったり、ギャグになったり、荒唐無稽になったり、色々変わる。
このゴーバスターズも例に漏れず、金と銀の二人が途中で「加入」した。金色のビートバスター(カブトムシをモチーフとした先輩戦士)と銀色のスタッグバスター(クワガタムシをモチーフとしたちょっととぼけたロボット戦士)の加入から少しずつコミカルな要素が増えてきたのである。

しかもビートバスターのほうは、亜空間へ消えたはずの主人公の父母の同僚たる研究者(姿は若いまま)の「陣マサト」。亜空間から(敵のデータ人間と同じ技法で)送られてきた「アバター」という設定だ。
そして彼は亜空間の現状をよく知っているはずなのに、聞かれてもはぐらかす(=亜空間は相当な状況になっているのを隠している?)という意味深長な役どころだ。(戦隊ファンにとっては、数年前に放映していたマジレンジャーのイエロー役でもあったという二重にオイシイ感じのキャラである)

主人公側の戦力増強に対抗するかのように、本格アクション(というより胸の谷間)担当の敵アバター「エスケープ」が加わり、敵ロボットも(主人公側から設計図を奪うという伏線つきで)増強されるなど、若干のキャラディテール的なテコ入れ感はありつつも、大きな流れはシリアス路線であることに変わりはなかった。

それが、先日の回、28話がとてもテコ入れされていて、しかも面白かったのである。

まず、オープニングテーマの曲と映像、エンディングテーマの映像が、どちらもすっかり変わってしまった。仮面ライダーシリーズであれば、通年でテーマ曲が変わることは昭和、平成どちらも記憶の中では「よくある」ことだった。
戦隊モノは歌詞が2番になったり、エンディングが俳優が歌うバージョンに差し替わったり、英語版になったり(ってゴーゴーファイブでありましたよね?)というのはあっても、テーマ曲自体がまったく違うメロディになることは珍しい。

加えて、オープニング曲に使われているカットが、以前は「真剣さとバトル」みたいな特命感溢れるものだったのに対し、今回のオープニングはとにかく「笑顔とカッコ良さ」が溢れている。これに度肝抜かれた。「え〜っ! シリアス路線やめちゃうとか!?」とさえ思ってしまった。

次に、こういう回に限って戦隊恒例の「入れ替わり回」。これは何かというと、赤や黄色や青のヒーローが、敵の秘術によって入れ替わってしまう、というやつだ。子どもごころに、見てるだけで楽しい(実際はアテレコが差し替わってるだけなわけだが)シチュエーションである。このシチュエーションに「主人公の弱点克服」というストーリーを重ねあわせてある。しかも、変身前の生身で敵の剣戟を捌いて必殺の一撃を加えるという、燃えるシチュエーション付き。対する怪人がペンキスプレーをモチーフとしたサイケで派手な色使いだというのもいい。(何がいいのか、って、そりゃ戦隊マニアの感覚っすよ)

この回のみのストーリーとしても無駄なく完結していつつ、大河ドラマ的要素もかなり歩を進めたのがすごい。

ずっと実体化もできず、エネルギーも足りないというトホホな状態で亜空間から出られずにいた敵のボス「メサイア」が、いよいよ実体化して現実世界へ侵攻しようというところまで敵の計画は進んでいたことが明らかになった。
それだけではなく、前述のエスケープが用いている二丁の銃「ゴク」「マゴク」が、主人公の母がかつて大切にしていた犬の置物の名前と同じであること、陣マサトが現実世界に出入りするために用いていたエネトロンが全て盗まれ、亜空間の状況を司令官に説明せざるを得なくなったことなど、この回だけでこれまで伏せられていた物語の大きな謎が解明へと向かったのである。
これはヤバい。面白くないわけがない。ひょっとして敵の黒幕って、亜空間に転移した主人公たちの親なのでゎ? とさえ思えてくる。

さらにエンディング。フルダンスバージョンと銘打って、曲に合わせて出演者がダンスをするものに変更された。従来は赤青黄の三人+基地の面々(整備スタッフまでも!)というものだったが、ここに金銀が加わり、踊りもわかりやすくフォーカスされるようになった。

ここで注目すべきはビートバスター、すなわち陣マサトのダンスである。5人の中でも最年長(データ人間なので姿だけは20代後半だが、実際は40代後半とかって設定だろう)のねちっこい、情熱的な、なんでサルサっぽいんだよ、みたいなダンスは必見である。ぼくは4回見ました。

そうそう、今をときめくマルチタレントのグラビアアイドル吉木りさが、主人公(赤)の姉役なんだけど、これまでたまにしか出てこなかったんですね。でも、この回、やっぱり出てきてた。こういうところも「テコ入れするなら全力で」という意気込みが感じられる。これからのゴーバスターズ、ちょう楽しみですわ。

……と、まぁ熱っぽく書きましたが、一番のテコ入れ要素は、司令官役の俳優が、リアルで盗撮犯をとっつかまえたという先週のニュースだと思います。

後記:さんざんテコ入れテコ入れ書いたんですけど、テコ入れじゃなかったらほんとすみません。単なる既定の路線であればそれはそれですごいけど。

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